STUDY
株式会社スタジオアリス様
経験者(OG・OB)雇用制度で"繁閑差"を効率的に解決
全国でこども専用写真館「スタジオアリス」を展開している同社。 衣装を貸出して何カットでも撮り放題というスタイルが広く受け入れられ、店舗数・利用者数を伸ばし続けている。 七五三や入学式などの記念写真撮影の需要が高く、こどもの笑顔を引き出すのに女性スタッフの活躍が欠かせない。 店舗スタッフの実に99%以上を女性が占めており、同社の成長を支える重要な屋台骨だ。
繁忙期の人員確保が悩み
同社は、こどもに特化した写真館ならではの、労務上の課題を二つ抱えていた。まず、女性スタッフが多いゆえに、妊娠・出産・育児などのライフステージの変化をきっかけとした退職が多いこと。 短時間勤務制度の利用も活発で、常時、代行スタッフを必要としている。
そして、平時の必要人員数約5,000人に対して七五三シーズンには約3倍の約15,000人と、繁閑の波が激しく売上が偏っていること。 これを補うため、毎年の繁忙期には短期アルバイトを8,000人ほど採用して切り抜けてきた。
しかしその多くは未経験者で、一から教育する時間と労力が必要なうえ、ピークを過ぎれば退職してしまう。
確実な人員確保と、適材配置。教育費をはじめとしたコストの削減。これらの問題を前に、解決の糸口として着目したのが【現場業務のスキルを身に付けたOB・OG】だった。
退職者の技能を活用「サポートメンバー制度」
2007年、初の試みとして、前年の七五三シーズンに働いた短期アルバイトへ「今年もまた働いてくれませんか」と、往復ハガキを約3,000通ほど送った。すると、2割近い方々から再就労の意思を得ることができた。 業務経験者から募ることで、有料広告費が掛からず、教育にかけるパワーもコストも最小限で済む。返信ハガキには、メンバーの基本情報に加えて、例えば「ヘアーセット」「着付け」等、保有スキルについて申請してもらった。
こうして退職者のスキルを「見える化」。店舗への適材配置を可能にした。
現在に続く「サポートメンバー制度」のスタートだった。
「スタッフスキルの見える化」「店舗の必要シフトの見える化」の仕組みを確立
そして2012年、ご縁からリクオプを導入しデータベースでの管理をスタート。続いて、各店の必要シフトを可視化し、店舗の状況に応じてメンバーを要請できる「サポートメンバー要請システム」を開発。スポットで働ける方を登録できる専用サイトも立ち上げた。
・登録メンバーは、保有スキルの他、各メンバーの勤務可能エリアなども登録。
・店舗は、いつどんなスキルを何人必要か、必要シフトについて登録。
・店舗は、必要に応じて登録メンバーへオファーメールを送信。
・登録メンバーは、希望の店舗を選んで応募できる。
・マッチングしなかった店舗には、本部がメンバーを検索して主導マッチング
・人員が確保でき次第、充足の通知メールを送信
スタジオアリスの経験者(OB・OG)再雇用促進
これにより、同社の人員確保の仕組みが確立した。 店舗からの急なヘルプ要請にも対応可能となり、店舗シフトの充足率が飛躍的に高まった。短期アルバイトの新規採用は少数で済むようになり、それに要していた求人広告費も、6割以上を削減することができた。
サポートメンバーの保有スキル把握、そして店舗の要望に応じた適材配置、必要店舗に必要スキルをもつメンバーを必要時間だけ配置することが、計画的かつ効率的に行えるように。 繁閑差が激しくても、各店舗のサービスを安定維持できる体制を、実現させた。
現在は登録者数約9,000人、そのうち4,000人のサポートメンバーが稼動している。半年で14回の応援勤務をこなしたサポートメンバーもあり、店舗にとってその存在は非常に大きい。
退職者、サポートメンバーとの関係性構築
この制度はサポートメンバーにとって、自身のライフステージに合わせた働き方ができる点で、大きなメリットがある。登録メンバーの中には、結婚や出産、引越し等による生活環境の変化に伴い、仕事を継続することが難しくなった方が沢山いる。そうした方が、働けるとき限られた時間だけでも希望エリアで働け、スキルを活かして活躍し続けられることは、本人にとって非常に価値が高い。
また、このシステムでは、メンバーの連絡先などはマイページから自分自身で編集できるようになっており、離職期間も「スタジオアリス」との繋がりは絶たれず、連続性(履歴)が保たれる。同社にとっては、いわば「従業員資産」を財産として磨いていくことができる。
商売上の顧客と同様、労働力としての個人と企業の関係も、永きに渡って「リピートしていただける関係」へ昇華していくことで、生産性向上が期待できるだろう。
従業員の幸せがお客様の幸せに繋がる
スタジオアリスは、何よりも「従業員の満足」を第一に考えてきた。
従業員が幸せに楽しく働けることが、パフォーマンスを向上させ、結果的にお客様の満足に繋がるという考えだ。メンバーたちの支えがあるから大勢のお客様をお迎えできる。各店に多くのサポートメンバーがいることが、顧客満足に繋がっている。