STUDY
株式会社ミキハウス様
研修のバージョンアップで
定着率を向上
- 株式会社ミキハウス
スタッフサービス事業部 部長 - 安福 三穂 様
本部と店舗の関係の強化こそ
離職率改善につながる
店舗においてミキハウスの接客・販売を担うアルバイトスタッフ『Co-staff』。扶養控除の範囲内で働くスタイルと社会保険加入のスタイルの2種類があるが、2017年頃、社会保険加入スタッフの退職率が50%に迫った。同社では採用のみならず研修においてもプログラムの充実化を進め、人材の育成・定着に注力していたが、50%に迫る退職率の状況が、研修も含めた態勢の見直しを行う大きな契機となった。スタッフサービス事業部 部長の安福氏は、当時の状況に大きな危機感を抱き、課題を探り、その要因が、本部と店舗とのコミュニケーションの希薄さにあることに気づいた。「本部と店舗のコミュニケーション不足によって、研修内容と店舗での仕事が連携していないことがわかりました。これを解決すべき課題と設定し、その上で、1年以内の離職率の目標を20%に据え、離職率改善計画をスタートさせました」(安福氏)
現場で必要とされる研修と
フォローアップ態勢を確立
ミキハウスには「ベーシックトレーニングプログラム」という研修プログラムがある。この研修において、本部と店舗のつながりの強化を意識した改革を行った。新しいスタッフには教育係を付け、本部と店長と連携し、三角形でやりとりする体制を構築。各研修前には本部が新人の状況をヒアリングし、課題を研修の講師に伝え、講師はそれを踏まえてプログラムを調整するという流れを作った。さらに研修後は店舗での実践状況を、「アクションレポート」に記入してもらい、店長が面談時にその内容を確認。面談後のレポートを本部スタッフと共有するというプロセスを徹底することで、Co-staffのスキルアップにつなげ、意欲を高め、定着率の向上へとつなげていった。本部と店舗の連携強化に加えて、こうした研修内容の見直しも行ったことで、1年以内の離職率は、23%にまで改善されたのである。
また、ミキハウスでは人を採ることと育てることは、一つのつながりの中で考える必要があると考え、採用場面でも同様に本部と店舗で綿密な擦り合わせを行っている。「採用担当は採用したら完了。研修の場では教わっただけ、教えただけで終わる。そうならないように現場で研修がどう生きるか、しっかりと研修していくことの大切さを改めて実感しました」(安福氏)
経営の基本姿勢でもある
アルバイトの定着・戦力化
定着率が向上したことにより、ミキハウスでは年間の採用人数を100名ほど減らすことができた。しかし、安福氏は「応募者を減らす気はない」と話す。「採用のためのホームページを強化したこともあり、応募数は順調。必要人数が減っても応募数は集め、一層の厳選採用ができるよう取り組んでいきます。その上で、アルバイトのCo-staffの人材育成・教育にも注力してまいります」。アルバイトの採用に積極的でも、その人材の育成に対して、真正面から取り組んでいる企業は決して多くはない。なぜ、ミキハウスはこれほどまでに人材育成や教育に注力できるのだろうか。「当社にとっては自然なこと」という安福氏の答えは明確である。ミキハウスは25年ほど前から退職した人が復職しやすいようにコミュニティーを作ったり、子育てアドバイザー等の勤務体系を作り、従業員満足を大切にすることで顧客満足の向上につながるという考え方は、経営の基本姿勢として根付いているのだろう。「店舗でお客様に接し、ミキハウスのイメージを最もよく伝えてくれるのが、Co-staffの皆さんだと思っています」という安福氏の言葉からすべての従業員を等しく戦力として扱い、育成するミキハウスの姿勢が滲み出ている。ミキハウスのこうした施策は、人材不足に悩む企業にとって大きなヒントになるに違いない。